なぞなぞ

※このお話は2013年9月のブログ記事
「雷ちゃん失踪事件」をもとにしたフィクションです※

あれは2年半前の夏のこと

ボクは蓼科山に住むという神さま ビジンサマに会ってみたくて
蓼科山を目指して旅に出た。

山っていうのは不思議なもので、
ふもとからその姿を見ていると近くに感じるのに
いざそこに向かおうとすると、なかなかたどり着けない。

車もマウンテンバイクも乗ることのできないボクにとっては、
それは果てしなく長く感じる道のりだった。

2日ほど歩いただろうか・・・

ボクの足では無理だと諦め、
家族の待つ家に帰ることにした。

旅に出てから4日目の朝
家の近くのゴルフ場まで戻ってきたその時、
目の前に突如 狐が現れた。

ボクはとっさに身構え、全身の毛を逆立てた。
にゃ~~~~~おっ!!!

だが実際にはとても怖くて仕方がなかった。

狐は
全てお見通しだという顔で
ボクをじっと見つめ、問いかけてきた。

「わたしがこわいのか?」

正直なところ、ボクはとても怖かったのだが
負けず嫌いの性格が、
答える代わりに

ふぅーーーーっ!!!
と全身で威嚇した。

狐は目を細め、少し笑った。

「腹がすいていればお前を襲って食べることもあるが、
やみくもに襲うことなどしない。
それが山のおきてだ。
山のおきてを破ると、ビジンサマがお怒りになる。
わたしにはビジンサマの怒りをかうことが一番怖い。
だからお前は今、わたしを恐れる必要などないのだよ。」

そう言って、狐は微笑んだ。

それでも恐怖で動けなかったボクに向かって狐は続けた。

「火は突如 現れ、山や森を焼きつくし、動物たちの生活を脅かす。
山のおきてを破り、ビジンサマの怒りに触れると、山が燃える。
山火事、それこそが、自然の中で生きる我らにとって本当に恐れるものであり
だからこそ、みな山のおきてを守って暮らしている。」

「さあ、猫よ。早く行きなさい。
お前のことを襲ったりはしないから」

そういうと狐はくるりと踵を返した。

パチパチパチ…
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うっすらと目をあけると
暖かく体を包む、ゆらゆらとした炎が目に映った。

窓の外では、深々と冷え切った空気が音もなく闇にまぎれている。

こうして暖炉の火で暖められた部屋でまどろんでいるうちに
ボクはいつしか眠ってしまったようだ。

寝ぼけ眼のボクは、誰にともなくつぶやいた。

「またあの時の狐が夢にでてきた」

ボクの言葉に
暖炉の火がゴーッと笑った。

相変わらず怖かったか?

ボクは火に答えた。
「今は平気だよ。いや、でもやっぱり怖いかな。」

火はパチっと大きくはぜて、言った。

そうか。
ではライよ、 一つなぞなぞを出そう。
このなぞなぞの答えがわかれば、
お前は何物をも恐れることはなくなるだろう。

いや、頭では理解できたとしても
実際に恐れを克服するということは
難しいことかもしれない

まあいい。
さあ、ここからが問題だ。

ようく聞け。

『俺は今、火だが、火の前には「木」であった。
そして、その前には「水」だったこともある。
「火」であり「木」であり、「水」である俺は
何者か?』

わかるか?

ボクは首を傾げ、しばし考えた。
そして言った。

「狐は、火を「ビジンサマの怒り」、って言ってたけど
火は木であり、水でもあるとは言っていなかったよ
わからない、お手上げだ。
答えを教えてよ。」

火はまた
ゴーッと笑った。

ライよ、こんな簡単ななぞなぞがわからぬのか

目の前の、見えているものだけで物事を見るのは人間の悪い癖だ。
お前は人間のそばに、あまりにも近くにいるせいで
物事の本質を見ることが苦手のようだな

お前の会った狐や、森の他の動物たちならば、このなぞなぞの答えはすぐにわかるだろう
彼らは「本当の俺」に畏怖の念を持っている。

物事の見えない部分を見ること、知ることは大切なことだ。

わかるか、ライ?

狐は俺を怖いと言っていたかもしれないが
本当のことを言えば
この世の中に恐れるものなどないのだよ

さぁ、もう一度聞こう。
俺は何者だ?

 

答えに窮し、黙り込んだボクを見て、火も口を閉ざした。

そして、その代りにバチバチっ!と勢いよくはぜた。

ボクは、火のなぞなぞの答えを考えようとしたけれど

全身を包み込む暖炉の心地よい暖かさと、薪の燃えるパチパチというリズムと音に
またしても、うとうとと、眠りに誘われた。

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さて、答えは夢の中で、考えてみるかな・・・

雷(らい)

ビジンサマの水

蓼科の水は美味しい

ここに越してきて一番最初に思ったこと

なぜだろう・・・

冬の、とある日の夕暮れ時に
僕はぼんやりと窓辺にたたずみ考えていた。
この時間、外を見ることが好きなのだ。
考え事をしていると、色々なものたちが話しかけてくる。

この日は、締め切った部屋の窓をたたく北風が答えてくれた。

なぜここの水が美味しいかって?
それはビジンサマからの贈り物だからだよ。

僕は尋ねた。
ビジンサマってだあれ?

北風はひゅーっと小さく喉を鳴らして答えた。
知らないのかい?
昔から蓼科山に住んでいる神様さ
いや、山そのものかな
みなビジンサマは知っていても
いつ、どこに、どんな姿で現れるのか
語れるものはいない

けれど、ここの水は
レオが生まれるよりもはるかに昔、それも気の遠くなるほどの大昔
この地に降った雨がじっくりと蓼科山にしみこんで
いつしかそれがたくさんになって溢れ出して流れ出た水。

天竜川という大きな川の源流となる水なんだよ
ここで暮らすものたちはみな、それはビジンサマからの贈り物だと思っている。

大切な、とても大切な命の水
決して尽きることない水

この水のおかげで
この地の木々や、草花
虫や動物たち、
そして人間たちは生きているのさ

そうして北風はとんとんと軽く窓をノックして西の空へと去って行った。
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間もなく山が一瞬朱くなって群青色の空を染め上げた。
僕が一瞬 またたきをしたその間に、
朱く燃えた山は空に沈み
僕はただ暗い部屋の窓辺にたたずんでいた。

キョウコさんが階段を登ってくる音がする。
そうだ、ビジンサマのお水をちょうだい、と、お願いしよう

レオ

茶白のレオのお話

おはようございます。

Cafe楢Oak 店主です。

暖かだったこの冬も、お正月気分がすっかりと抜けたあたりから
ようやく日中も氷点下となる日が訪れてきました。

今朝は、そんな冬本番の蓼科から
ほっこりとするお話をお届けしたいと思います。

現在、カフェオークには3匹の看板スターがいます。

まず、看板娘1号 サラブレッドの杏
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つづいて、看板娘2号 ビーグル犬のマロン
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おなじみ、看板ボーイ 白黒模様の雷ちゃん です。
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でもカフェオークで暮らす動物は他にもいるのです。

常連のお客様やブログの読者の方々は
既にご存知の方もいらっしゃると思いますが、
そのスター達の陰に隠れ
我が家の2階(だけ)で暮らす 茶白模様のレオという猫。
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今朝はそのレオ(通称レオタン)のお話。

レオはもうすぐ10歳になる男の子
東京月島生まれ、門前仲町から浅草界隈で育った下町っこです。

月島で生まれたレオは、生後間もなく捨てられ
ボランティアの方に拾われてたくさんの猫たちと一緒に3か月まで暮らしました。

のちに聞いたことですが、
生まれてすぐに何かトラウマとなることがあったのか
共に暮らす猫たちの中で孤立し、一部の人にしかなつかない気難しい子だったそうです。

私が猫を飼いたい!と思い立って、
買うのではなく、引き取ろうとボランティア団体に連絡を取り、レオを保護してくれていた女性とお会いしたのが10年前のことです。
当初はもっと小さい子猫を貰い受けるつもりでしたが
「いい子だから、この子がお勧め」と
ボランティア女性の主張では「生後3か月」というレオを最初に紹介されました
(実際は半年くらいだったのではと思うくらい、大きかったのですが…笑)
レオと目があった瞬間、この子私が引き取らないと、
引き取り手がないのだろうな、という予感がしました。

そうして私とレオは一緒に暮らすことになったのです。

家に連れて帰ってみると

ソファーの下に隠れたきり出てきません。
3日ぐらいしてようやく、部屋に出てこれるようになりました。

臆病で小さな物音にも飛び上がり
トイレも一人だとなかなかできず
ご飯もはじめのうちは、抱っこして器を口元に持って行ってあげていました。
そんな風にしながら東京ではマンション暮らしで一歩も外に出ることなく
ほとんど他の人と会うこともなく
他の猫に至っては全く出会うことなく、でも平穏に暮らしてきました。

5年前に、東京から蓼科へ私と共に越してきてからは一転

私以外に両親という人間と、暴れん坊猫(笑)雷ちゃんと、
当時まだ生きていた長老猫の海と空(どちらも20歳近く長生きしました!)
に毎日ビクビクとして、
あげくに、うっかり外に出てしまい病気をもらってきてしまったようで
1年間獣医さん通いになり、その時は体重も落ちて、げっそりとしてしまいました。

これではいけない!と
女ムツゴロウのように動物好きの母が
得意の餌付け作戦を開始しました。

①なまり節を毎晩2階にとどける、
②やたらと話しかける
③無理やりぎゅっとする(これはいいのか?と思いますが…)
強引とも見えるデリバリー3段階のサービスが功を奏して
だんだんとレオは母になついていきました。

今では階下の扉を開ける音、階段を上る音から母を察知して扉の前で待っているようになったレオに
母の勝ち誇った顔!

現在、デリバリー担当は父になりましたが
父のよるサービスは①のみ。
でも、レオとしては②と③がなくても何の問題もないらしく
怪訝な顔をしていたのも始めのうちだけで
すっかり父も「なまり節を届けてくれる何もしない親切なおじさん」となったのでした。

また、私が出張の時には
母が私のベッドでレオと一緒に寝ることにしたそうです。

母「夜中に布団の上でふみふみするようになったよ!」(猫を飼っている方ならお分かりのように愛情表現ですよね!)
とのこと。

我が家の先住猫は20歳近くまで生きていたので
これはご長寿の域ですが、仮に猫の人生を20歳と考えると
今10歳のレオは、人生約半分を使って
人見知りを克服したことになりますね。
といっても自分のテリトリーの中だけですが。

生まれて3か月の間に背負ったトラウマを克服するのに
10年という期間は途方もなく長く感じます。。。

時間はかかりましたが、今の彼は私以外の家族にもかわいがられて幸せそう。
ぐっと生きやすくもなったのではないかな

我が家の動物たちはみな家族。
レオ以外はみな人懐こく看板スター向きですが
動物たちもそれぞれ色々な個性を持っていて
幸せの尺度もきっとそれぞれ
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こんなふうにぬくぬくと幸せそうな様子のレオタンを見ていると、
万事全てよし!!
と思える今日この頃なのでした。

おしまい

新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。

本年も
蓼科乗馬ファーム、Cafe楢Oakともに
どうぞよろしくお願い申し上げます。

2016年が皆さまにとって素敵な年となりますように☆ミ

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↗ 看板娘 杏
ぽかぽかの日差しの蓼科で
日向ぼっこしながら干し草のランチを満喫中